2026年7月25日、オーストラリア・シドニーで予定されていた元世界2階級王者スティーブン・フルトン・ジュニア選手とリアム・ウィルソン選手の一戦が、フルトン選手の大幅な体重超過により中止となりました。
試合は当初、130ポンドのWBAスーパーフェザー級挑戦者決定戦として予定されていました。しかし、フルトン選手の陣営から体重変更の申し入れがあり、最終的には133ポンドの契約体重で合意。この時点で、試合はWBA挑戦者決定戦としての扱いから外れていました。
それでもフルトン選手は、公式計量で139.5ポンドを記録。変更後の契約体重を6.5ポンド、当初の130ポンドを9.5ポンドも上回り、ウィルソン選手との試合はリングに上がることなく中止されました。
130ポンドから133ポンドへ異例の変更
フルトン選手の陣営は当初、試合を135ポンドに変更するよう求めていたとされています。ウィルソン選手の陣営がこれを拒否したため、両陣営は133ポンドで妥協しました。
契約体重の変更が発表された段階で、フルトン選手は、オーストラリアへ向かう前から体重について相談していたことを明かしています。
「こちらへ来る前に、そのことは伝えていた。ただ、どんな状況でも体重を作る必要はあった」
公開練習を欠席した理由については、メディア対応よりも減量を優先し、試合を守ろうとしていたと説明しました。
一方、減量にどれほど苦しんでいたのかと聞かれると、フルトン選手は「それほどでもなかった」と回答しています。
翌日の公式計量で139.5ポンドを記録したことを考えると、この発言には疑問が残ります。
フルトンはライト級転向を示唆
契約体重が133ポンドへ変更された後、フルトン選手は、今後135ポンドのライト級で戦うのかと質問され、次のように答えていました。
「おそらくそうなる。おそらくね」
しかし、結果的には133ポンドを作ることもできませんでした。
フルトン選手は計量失敗後、138ポンド付近で身体が反応しなくなり、それ以上の減量を続けられなかったと説明しています。
選手の安全を考えれば、身体が限界に達した状態で無理な減量を続けるべきではありません。
ただし、今回はフルトン選手側の要望によって上限が引き上げられた後の大幅超過でした。さらに計量失敗は2試合連続だったため、関係者からプロ意識を問う声が相次ぎました。
大きなチャンスを失ったウィルソン
最も大きな影響を受けたのは、対戦相手のウィルソン選手です。
ウィルソン選手はフルトン選手との試合を、世界戦線へ再び進むための重要な一戦と捉えていました。
133ポンドへの変更が決まった後も、「自分としては世界挑戦者決定戦のつもりで戦う」と語り、フルトン選手がどのような状態でリングに上がっても対応すると話していました。
「自分にできるのは、自分の側で起きていることに集中するだけ。最高の状態のフルトンを想定して準備してきた」
しかし、その準備を披露する機会は失われました。
トレーニングキャンプに費やした時間と労力だけでなく、元世界王者を破って評価を高める可能性も消えることになりました。
ウィルソン選手の陣営が、「最初から体重を作るつもりがなかったのではないか」と反発したのも、無理のない反応でしょう。
ジョージ・ローズも「無礼で残念」
興行を手掛けたノー・リミット・ボクシングのジョージ・ローズ氏も、フルトン選手の姿勢に失望を隠しませんでした。
ローズ氏によると、フルトン選手は早い時期から現地入りし、減量に必要な宿泊環境や施設も用意されていました。
過去に世界王者として計量をクリアしてきた経験もあり、体重を作る機会は十分にあったといいます。
「彼には体重を落とすためのあらゆる機会があった。非常に無礼で、何より残念だ」
ローズ氏は、フルトン選手の計量失敗によってファンや興行側も影響を受けたものの、最も気の毒なのはウィルソン選手だと強調しました。
ポーリー・マリナッジもプロ意識を疑問視
元世界王者のポーリー・マリナッジ氏も、契約体重を引き上げてもらいながら、その数字さえ作れなかったことを問題視しました。
マリナッジ氏は、フルトン選手が公開練習に姿を見せなかった時点で、減量がうまくいっていないと感じていたといいます。
体重面で譲歩を受けた後の失敗だっただけに、プロとしての姿勢に疑問を呈しました。
ティモシー・ブラッドリーが痛烈に批判
最も強い口調でフルトン選手を批判したのが、元世界2階級王者のティモシー・ブラッドリー氏でした。
ブラッドリー氏は、フルトン選手が持つ才能を認めたうえで、今回の行動を「キャリアを自ら壊す行為」と表現。体重管理を徹底できなかったことで、報酬や今後の試合機会まで失ったと指摘しました。
「それだけの才能を持ちながら、すべてを無駄にしている」
さらにブラッドリー氏は、今後はプロモーターがフルトン選手の試合に資金を投じることをためらう可能性があるとして、「キャリアは終わった」とまで言い切りました。
ブラッドリー氏の表現は非常に過激です。
ただ、計量失敗が続けば、対戦相手や興行会社、放送局からの信用を失うという指摘には現実味があります。
発言の重要ポイント
- 試合は当初、130ポンドのWBAスーパーフェザー級挑戦者決定戦として予定されていた
- フルトン選手の陣営は135ポンドへの変更を希望した
- ウィルソン選手の陣営との協議により、133ポンドで合意した
- 体重変更によって、試合はWBA挑戦者決定戦ではなくなった
- フルトン選手は公式計量で139.5ポンドを記録した
- 変更後の契約体重を6.5ポンド超過し、試合は中止された
- フルトン選手にとって2試合連続の計量失敗となった
- フルトン選手は今後、135ポンドへ転向する可能性を示している
今後の展望
フルトン選手に必要なのは、まず安全に作ることのできる適正階級を見極めることです。
今回の139.5ポンドという数字は、ライト級の上限である135ポンドも大きく上回っています。単純にスーパーフェザー級からライト級へ移れば解決する問題なのか、あらためて検討する必要があるでしょう。
それ以上に難しいのが、失った信用を取り戻すことです。
対戦相手は長期間の準備を求められ、興行側も会場、放送、宣伝などに大きな費用を投じます。契約体重を守れるという信頼がなければ、大きな試合を組むことは難しくなります。
ブラッドリー氏は「キャリアは終わった」と断じましたが、現時点でそこまで断定することはできません。
ただし、次の試合でも同じ問題を起こせば、トップ戦線への復帰は極めて厳しくなるでしょう。
まとめ
フルトン選手対ウィルソン選手の中止は、単なる計量失敗ではありません。
フルトン選手側の要望で130ポンドから133ポンドへ変更されたにもかかわらず、実際の計量は139.5ポンドでした。
その結果、ウィルソン選手は重要な試合機会を失い、興行側やファンにも大きな影響が及びました。
フルトン選手が世界2階級制覇を成し遂げた実力者であることは間違いありません。しかし、再び大舞台へ戻るためには、階級の見直しだけでなく、プロとしての信用を一から築き直す必要があります。
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