武居由樹を破ったチスパ・メディナ、那須川天心との関係を語る「何年も手伝っている」日本のファンにも感謝

那須川天心との関係や井上拓真への評価を語ったWBO世界バンタム級王者クリスチャン・メディナ クリスチャン・メディナ

今月、バンタム級で注目を集める那須川天心選手と井上拓真選手の一戦が行われます。

そんな両者に関連する興味深い発言を残しているのが、メキシコの世界王者クリスチャン“チスパ”メディナ選手です。

メディナ選手は2026年6月に公開されたインタビューで、以前から那須川選手のトレーニングをサポートしてきたことを明かしました。

さらに、日本で世界王者になった経験や日本のファンへの印象、日本で指導を受けているトレーナーについても言及。同じ118ポンドで戦う井上拓真選手については、「この階級で一番強い」と高く評価しています。

なお、このインタビューは2026年6月に公開されたものです。そのため、メディナ選手自身の今後の試合予定など、現在とは状況が変わっている可能性がある部分については扱わず、本記事では那須川選手をはじめとする日本ボクシングに関する発言を中心に紹介します。

今回紹介する発言の元となったインタビューはこちらです。

チスパ・メディナ選手のインタビュー(YouTube)

インタビューでは約58分にわたり、自身のキャリアや日本での経験、那須川選手との関係、井上選手やラファエル・エスピノサ選手への評価など、幅広いテーマについて語っています。

武居由樹を4回で破り、日本で世界王者に

メディナ選手と日本ボクシングとの関係を語るうえで欠かせないのが、武居由樹選手との世界戦です。

日本に乗り込んだメディナ選手は、当時無敗だった武居選手から初回にダウンを奪い、4ラウンドで試合を終わらせて世界王座を獲得しました。

しかし本人は、これほど早い決着になるとは考えていなかったと振り返っています。

「正直、4ラウンドで終わるとは思っていなかった。4ラウンド以降が勝負だと思っていた」

メディナ選手は事前に映像を研究し、武居選手について、序盤から積極的に仕掛け、まだ試合に入り切っていない相手を捉えて倒すタイプだと分析していました。

ところが、実際には自らが初回にダウンを奪います。

「1ラウンド目に倒せるとはまったく思っていなかった。倒した時に、『誰だって倒れる。俺のパンチは効くんだ』と思った。それで自信も一気に上がった」

それでもKOを焦ることはなく、当初のゲームプランを崩さず試合を進めました。4ラウンドに入ると少しずつプレッシャーを強め、最終的にレフェリーが試合を止めました。

世界王者になるまでには複数の敗戦も経験してきたメディナ選手ですが、日本で武居選手を破ったことでキャリアの大きな転機を迎えることになります。

「何年も天心を手伝っている」那須川天心との関係

そんなメディナ選手は、日本へ何度も足を運んできました。

その大きな理由の一つが、那須川天心選手です。

日本との関係について話していた際、メディナ選手は、

「時々、日本へキャンプに行って天心を手伝っている」

と明かしました。

さらに後のやり取りでは、那須川選手との関係が最近始まったものではないことも説明しています。

「天心とはもう何年も前から一緒にやっている。彼を手伝うために日本へ行っているし、向こうも僕をサポートしてくれている。天心のプロモーターにも助けてもらっている」

単発のスパーリングパートナーとして呼ばれているのではなく、メディナ選手と那須川陣営の間には以前から継続した関係があるようです。

現在では118ポンドの世界王者となったメディナ選手が、何年にもわたって那須川選手のトレーニングを手伝ってきたというのは、今月の井上拓真戦を前にしても興味深い事実です。

エストラーダ戦でも天心をサポート メキシコで批判も

その関係が改めて注目されたのが、那須川選手が元世界王者ファン・フランシスコ・エストラーダ選手と対戦した際です。

メディナ選手は、この試合に向けた那須川選手の準備にも参加していました。

しかし、エストラーダ選手はメディナ選手と同じメキシコ人です。

そのためSNSでは、同胞ではなく那須川選手を手伝ったメディナ選手に対し、「祖国への裏切りではないか」といった反応も寄せられたといいます。

インタビュアーからも冗談交じりに「国家への裏切りじゃないのか」と聞かれましたが、メディナ選手はその考えを否定しました。

「俺は裏切りだとは思っていない。エストラーダとは話したこともないし、個人的な付き合いもない。でも天心とはもう何年も一緒にやってきている」

さらに、国籍だけで人間関係を判断することについても、自身の考えを語っています。

「リングの上では何が起きてもいい。でもリングを降りれば友人だし、人間同士だ。中国人でもアメリカ人でも同じ。みんな人間なんだ」

同じ国の選手だからという理由ではなく、これまで築いてきた信頼関係を大切にする――。メディナ選手にとって、那須川選手をサポートすることはごく自然なことだったようです。

「日本の方がメキシコより有名かも」日本のファンへの好印象

メディナ選手は、日本のボクシングファンについても非常に好意的に語っています。

「日本ではメキシコ人はすごく歓迎される。俺たちのことをすごく好いてくれている」

さらに、自身については、

「時には日本の方がメキシコより良く扱ってもらっていると感じることもある。日本の方が有名なくらいだ」

と話しました。

日本を訪れると、写真撮影やサインを求められることも多いといいます。

「日本に行くと写真を求められるし、サインも求められる。メキシコでも写真を頼まれることはあるけど、本当に日本の方が多い。日本で戦ったからなのか、日本で世界王者になったからなのか分からないけど、日本では知られているんだ」

武居選手を破った外国人王者でありながら、日本で好意的に受け入れられていることを本人も実感しているようです。

アウェーでも敬意を示した日本の観客

メディナ選手が好印象を持っているのは、写真やサインを求めてくれるファンだけではありません。

武居選手との世界戦では、自身を応援するために会場を訪れた家族やスタッフは15人ほど。一方、会場には約2万人の観客が集まっていたと振り返っています。

日本人王者に挑戦するメキシコ人選手にとって、完全なアウェーともいえる状況でした。

しかし、メディナ選手は日本の観客について、

「みんなすごく親切だった。本当に礼儀正しい」

と高く評価しています。

そしてメキシコの会場との違いについても、

「メキシコでは相手選手が出てきたらブーイングすることもある。でも日本ではそうじゃない。みんなリスペクトしてくれる」

と説明しました。

メディナ選手によれば、大観衆そのものに圧倒されたというより、試合で自分がどのようなパフォーマンスを見せられるのかという緊張の方が大きかったそうです。

敵地で日本人王者を倒した選手でありながら、日本の観客に対してこれほど好意的な印象を持っていることも、メディナ選手と日本の特別な関係を感じさせます。

日本では田中繊大トレーナーらからも指導

メディナ選手と日本とのつながりは、試合や那須川選手とのスパーリングだけではありません。

自身のトレーナーとの関係について話していた際、日本でトレーニングする時には、

「俺の場合、日本へ行けばカルロス・リナレスと田中繊大にトレーニングしてもらう」

と明かしています。

カルロス・リナレス氏は、元世界王者ホルヘ・リナレス氏の兄弟です。

田中繊大トレーナーは、海外のトップボクサーを数多く指導してきた日本人トレーナーです。かつてはメキシコの名王者マルコ・アントニオ・バレラ氏の陣営に入り、2001年のナジーム・ハメド戦などをサポート。さらに故エドウィン・バレロ氏、ホルヘ・リナレス氏ら世界王者の指導にも携わってきました。

近年ではWBO世界フェザー級王者ラファエル・エスピノサ選手のトレーニングをサポートし、セコンドも務めています。

メディナ選手自身も、そのエスピノサ選手とはスパーリングを重ねています。

インタビューでは、

「かなり難しい。エスピノサは本当に難しいボクサーだ」

と話し、8ラウンドのスパーリングを終えた後は、その日はもう何もしたくなくなるほど疲れると笑いながら振り返っています。

ただしメディナ選手は、別のトレーナーから学ぶことと、自身のメイントレーナーを変えることは別だと考えています。

日本へキャンプに行き、異なるスタイルや考え方を吸収したうえで、最終的には長年指導を受けているトレーナーのもとへ戻る。

メディナ選手にとって日本は、世界王者になった場所であるだけでなく、自身のボクシングを成長させるための重要なトレーニング拠点の一つにもなっています。

井上拓真を「118ポンドで一番強い」と高評価

そして、今月那須川天心選手と対戦する井上拓真選手についても、メディナ選手は高く評価しています。

インタビュアーから、バム・ロドリゲス選手を除いて「118ポンドで最も安定した王者は誰だと思うか」と聞かれると、メディナ選手は、

「拓真だと思う。俺は拓真がこの階級で一番強いと思っている」

と答えました。

さらに当時、自身が今後対戦したい王者について話していた際にも、まず井上選手との試合を目指し、その後にバム・ロドリゲス選手らとの対戦を考えたいという意向を示していました。

ただし、これらは2026年6月に公開されたインタビューでの発言です。

現在のバンタム級情勢や、今月の那須川選手との対戦を踏まえて語られたものではありません。

また、今回のインタビューでメディナ選手が那須川vs井上の勝敗を予想しているわけでもありません。

それでも、那須川選手を何年にもわたってサポートしてきたメディナ選手が、その一方で井上選手を「118ポンドで一番強い」と評価していたという点は興味深いところです。

チスパ・メディナにとって日本は特別な場所に

武居由樹選手を破って世界王者となり、那須川天心選手とは何年にもわたってトレーニングを重ね、日本では田中繊大トレーナーらからも指導を受けているチスパ・メディナ選手。

さらに、日本のファンについては「メキシコより有名なくらい」と感じるほど歓迎されていることを明かし、アウェーの外国人選手にも敬意を示す日本の観客文化についても高く評価しています。

インタビューから見えてくるのは、メディナ選手にとって日本が単に「世界王者になった国」ではないということです。

那須川選手との長年の関係、トレーナーとの交流、ファンとのつながりまで含め、日本はキャリアの中で重要な場所になっているようです。

そして、そのメディナ選手が井上拓真選手について「118ポンドで一番強い」と評価していたことも、今月の一戦を前に興味深い発言です。

那須川選手を長年支えてきた世界王者が、対戦相手である井上選手の実力も高く買っていた――。

今月の那須川天心vs井上拓真を、また違った角度から見ることができるインタビューといえるでしょう。

Yasu Boxing Instituteでは、YouTubeでも海外インタビューの翻訳動画を投稿しています。

チャンネルはこちら: https://www.youtube.com/@YasuBoxingInstitute-fe2yx

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